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こころ温まるお話「カニーが教えてくれたこと」

       

アパート暮らしの颯太は、犬も猫も飼えない。
ある日、颯太が川で遊んでいるとサワガニが!
「これならアパートでも飼えるぞ」と、やさしく手ですくい取り、持っていたバケツに入れる。
帰ってお母さんに飼いたいと猛烈アピール。

お母さんは毎日のパートとおじいちゃんの介護で忙しい。
だから「颯太がちゃんとお世話できるならいいよ」って。
颯太は大喜びで名前をつける。
「今日からおまえの名前はカニーだ!なっ、カニー」。

カニーはご飯粒を小さくしてあげると上手に挟み、口に運ぶ。その姿が可愛くて仕方がない。
でも、しばらく経ち、颯太はお母さんが「カニーの世話は?」と聞くと、「よろしく!」と遊びに行くように。お母さんは小さくため息。

「ゴホッゴホッ」
土曜の朝、お母さんが咳き込んで辛そう。
毎日カニーの世話までさせちゃって、ちょっと後ろめたい。
今日はさすがに自分で世話をしようとバケツをのぞく。
「あれ?カニー?カニーがいない!一体どこに行ったんだ」颯太は半泣き。

キッチンの床にはいつくばって探していると、冷蔵庫の前に綿のようなものが。
「何、これ?」と手に取ってみる。
「うわっ、これホコリだ!こんなのどこから出てきたんだ」
何気なく冷蔵庫の下をのぞくと、何やら動く物体が!もしや!まさか!恐る恐る顔を近づける。

「カニー!」
そこにはホコリまみれのカニーの姿が。

「あら、カニーは働き者ね!」
その一言に、颯太はハッとする。
あのホコリ!冷蔵庫の下を掃除してくれたってことか。
「カニー、ありがとね!」
久々に見るお母さんの笑顔にグッとくる。

日曜の朝、「カニーに負けてられないぞ」と、颯太は雑巾を片手に床掃除。
「颯太、ありがとう!」その一言と、お母さんの笑顔をもっと見たくて。

     

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