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こころ温まるお話「おばあちゃんの振袖」

       

二十歳を迎える年の春、近くに住む祖母の家で、祖母と母が二代に渡り着たという振袖を見せてもらった。
大きな牡丹や菊の花が華やかな、上品で美しい白地の振袖だ。
一目ですっかり気に入った私は、二人に頼んで早速着付けをしてもらうことにした。
アクセサリー作りにハマっていたこともあり、「せっかくだから着物に合わせて何か自作したい!どんなものが似合うかな」と、想像を巡らせるのに夢中になった。

だが、いざ期待に胸を踊らせながら袖を通した振袖は、袖も丈も明らかに短い。

「何とかならない?」

母が祖母に尋ねる。
しかし、和裁をやっていた祖母から見ても、どうにもならないようだった。

「ミノリちゃんは背が高いし、手足も長いからね。古い物は、いつか使えなくなるのよ」

母はそう言ってくれたが、サイズが合わなかったことよりも寂しげな表情を押し隠している祖母の姿が悲しかった。

夏前になり、着物はレンタルして、それに合うアクセサリーを作ろうかと考えていたとき、ふと閃いた。

私は次の休みに祖母の家へ行き「あの振袖、カバンにしたい!」とお願いしてみる。

大切な振袖にハサミを入れるなんて!
そう怒られるのではないか…と心配だったが、祖母は目を輝かせながら、快く「良いわね!」と言ってくれた。

それから夏休みの間は何度も祖母の家に通い、布の裁ち方、ミシンの使い方などを一から教えてもらった。
裁縫、それも和裁などやったこともなかったが、難しいところは祖母も手伝ってくれたおかげで、自分が思っていた以上に素敵なカバンが仕上がった。

年が明け、成人式の日。
式典が終わり、ひとしきり友人に声をかけると、母の車で祖母の家へ向った。

「あら、そのイヤリングは?」

着物やカバンを褒めてくれたあと、私の耳元を見て、祖母が気づく。
それは、振袖のハギレで作ったイヤリングだった。

「実はこれ、おばあちゃんと、お母さんの分も作ったの」

祖母と合作のカバンから取り出して渡したイヤリングを、二人は喜んで着けてくれた。

「形は変わっても、残せるものはあるよ。次はおばあちゃんの分のカバン、ひとりで作ってみるね!」

そう言うと、祖母は嬉しそうにイヤリングを撫でて微笑んだ。

     

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