院長ブログです
中学生のヒロキは、自転車通学の途中に毎朝パン屋の前を通るのを楽しみにしていた。
ふんわり漂う焼きたてパンの香りに癒され、穏やかに挨拶をしてくれる老夫婦の笑顔を見ると自然と元気が出た。そのパン屋は学校給食のパンも担当しておりクラスメイトにも人気のお店だ。
ある日、給食のパンがしばらくお休みになったと朝のHRで通達があった。帰り道、パン屋に寄るとシャッターが閉まっていて、入口の貼り紙には「しばらく休業します」とだけ書かれていた。
翌朝、再びパン屋の前を通ると、店の前を奥さんが寂しそうな表情で掃除をしていた。思い切って声をかけると、奥さんは小さくため息をついて言った。
「実はおじいさんが体調を崩してしまって…」
ヒロキは胸がぎゅっと締め付けられるようだった。
いつもお世話になっているパン屋さんに何かできないか…悩んだ末、学校の先生に相談をしてみることにした。先生はヒロキの話を聞き、「みんなで励ましの寄せ書きを作ろう!」と提案してくれた。
クラスメイトも賛同し、放課後には家庭科の先生にも協力してもらって簡単なパン作りにも挑戦し、その様子を写真に収め、寄せ書きと一緒に老夫婦に渡した。
「こんなに温かい気持ちをもらえるなんて…ありがとう。本当に元気が出ました」老夫婦は感動して涙ぐんでくれた。
数週間後、パン屋が再開した。
再開初日の朝、ヒロキは老夫婦から笑顔で「君たちが楽しみにしてくれるから、まだまだおいしいパンをつくるね!」と焼きたてのパンを手渡された。
店には学生たちが作った寄せ書きと写真が飾られ、「町のみなさんに支えられました」と温かなメッセージが添えられていた。
パンを頬張りながら、ヒロキの胸はパン以上に温かい気持ちでいっぱいになった。