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こころ温まるお話「ふたりのハンドクリーム」

       

自分の飲食店を持って、瞬く間に一年が経ったころ、お店の定休日に妻を招待した。
ようやく軌道に乗り、少し余裕も出てきたため「一周年のお祝い」と称して、妻に料理を振る舞うことにしたのだ。

ニコニコと嬉しそうに料理を味わう姿に、思わず顔がほころぶ。

最後にケーキを出して、私の素直な気持ちを伝えようとした。
しかし、私が口を開くより先に「じゃあ、これは私からのお祝いね」と、妻が取り出したのは、見覚えのある小さなラッピングバッグだった。

見習いとして働いていた新人のころ、料理を作らせてもらえず、雑用ばかりさせられているように感じる時期があった。

「自分には才能が無いのではないか」
「この仕事に向いていないのかもしれない」

そんな考えが頭をもたげ、暗い顔を見せてしまうことも多くなっていたとき、妻が誕生日でもないのに、小さなラッピングバッグをくれた。
中に入っていたのは、少し値の張る良質なハンドクリーム。

「手荒れが料理に障るといけない」と言って、私のことを励ますでも諭すでもなく、ただ信じてくれていた妻の気持ちに、私は顔を隠しながら「ありがとう」と言うことしかできなかった。

それからの私は自分の夢だけではなく、妻の想いに支えられて、料理修業に打ち込むことができた。
今の私があるのは、妻が背中を押してくれたおかげだ。

そのときの感謝を伝えるつもりだったのだが、妻に先を越されてしまった。
しかも、中には予想通りハンドクリームが入っていたので、つい笑みがこぼれる。

「覚えてたの?」と言う妻に、「覚えてるもなにも」と、私もポケットから小さなラッピングバッグを取り出す。
ふたつ並んだ同じ包みを見て、今度は妻が笑った。

「これまで自分のことしか見えてなくてごめん」

妻の手が荒れていることに気づいたのは、恥ずかしながら最近のことだ。

「もっと良いクリームでも良かったのになぁ」と、妻は照れ隠しのように笑う。
この明るさに、いつも助けられてきた。

ケーキのロウソクに照らされる妻の笑顔を眺めながら、互いを労り合うことを心に誓う。
この誓いは、ハンドクリームがいつでも思い出させてくれるだろう。

     

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