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こころ温まるお話「はじめての映画館」

       

「じゃあ父さん行けないんだ」 夫と私の顔を交互に見ながら、 息子が残念そうにつぶやいた。
息子は小学校6年生。日曜日に 家族3人で映画館に行く予定だっ たのに、急な仕事で夫が出勤することになったのは前日のこと。
「仕方ないでしょ。母さんと2人じゃイヤ?」と、笑いながら私が尋ねると
「そんなことないけど・・・父さんいないと、いろいろ聞けないから」と小声で答える。
夫は学生時代に自主制作の映画を作っていたことも あり、息子が小さかった頃から、よく週末にビデオや DVDを借りて来て、ささやかな映画鑑賞会を開いてき た。
息子も映画についての疑問を夫に尋ね、その一つ ひとつに、夫はわかりやすく答える。
だから、せっかく 映画を観に行くのに、疑問に答えてくれる人がいない ことに対して、息子は不満げだった。
そんな息子に夫 は「いつもは父さんが色々教えているけど、今回は映 画を観ながら自分なりに色々考えてごらん。それも一つの楽しみ方だよ」と言ってなだめていた。

翌日、息子と私が観たのは中学生を主人公にした日 本映画。
派手な作品ではなかったが、隣の席でスクリ ーンを見つめる息子は、映画の世界に夢中になっている様子だった。
映画館を出たあと息子に感想を尋ねると「・・・感動した、ものすごく感動した」という答えが返って来た。
「帰ったら父さんに聞きたいこともたくさんあるけど、今日はやめとく。いろいろ考えてみて、それでもわか らなかったら聞く」と楽しそうに言う息子は、今まで見 たことのない大人びた顔をしているように思えた。
それ以降、息子は映画の新しい楽しみ方を学んだようで、たまに夫と映画論について夜が更けるまで語らう程、映画にのめり込んでいった。

それから10年以上の月日がたち、息子は東京の映像 制作会社に入社した。
忙しい日々を送っているようだ が、充実した毎日を送っているようだ。
そんな息子か ら、私達夫婦の25回目の結婚記念日に小包が届い た。
夫と封筒を開けると、中には「僕を映画好きにしてくれた父と 母へ 映画監督修行中の息子より」というメモ書きと、あの日映 画館で観た映画のDVDが入れられていた。

     

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