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こころ温まるお話「我が家はいちご農園」

       

私の実家はいちご農園を営んでいる。
冬から春にかけて真っ赤な実をつけ、ハウスの中に立ち込める甘酸っぱい匂いが、私にとっての「春の香り」だった。

幼いときは、父の育てたいちごを食べるのが楽しみだったり、
畑作業を手伝ったりもしたが、物心つく頃には食べ飽きていたし、土で汚れるのが嫌だった。
そのうえ小中学校の多感な時期に、顔が赤くなりやすく、そばかすの多い体質を野次って
「いちごちゃん」と呼ばれたことをきっかけに、いちご農家の娘であることも嫌になっていった。

高校に上がる頃、父から「将来、農園を継がないか」と言われ、私は反射的に反発してしまった。
逃げるように大学へ進み、実家ともすっかり疎遠になったあるとき、アルバイトを始めたレストランで思わぬ再会を果たす。
デザートメニューに使われていたのが、実家のいちごだったのだ。

しばらくしてから知ったが、食材の仕入れ先はすべてシェフがこだわって決めているようだった。

「お店のいちごは、どうしてこの農家から仕入れてるんですか?」
ある日のバイト終わり、それとなく尋ねてみた。
シェフは初め、「このいちごみたいな料理人になりたくてね」とだけ言ってはぐらかしたのだが、
私がよほど困惑した顔をしていたのだろう。少し笑うと、箱を擦りながら優しく語った。
「このいちごはね、強い主張はないけど、しっかり芯があって、見た目も美しい。
料理のことを考えて栽培されていて、いちご自体はもちろん、その仕事ぶりにも僕は感銘を受けたんだよ」
実家のいちごを心から褒められた気恥ずかしさと、
父の気持ちを何も知らなかったというもどかしさが入り混じり、顔が赤くなっているのが鏡を見なくてもわかる。
私の様子を心配するシェフに実家の話を打ち明けると
「お父さんに似て、何に対しても真剣なんだね」と、顔を見ないように視線を外してくれた。

それから私は、何度かシェフと実家の思い出について話をするようになった。
他愛もない記憶だが、話している内に父とあらためて話したい気持ちが強くなっていく。
次の休みには、父のいちごを使ったお菓子をお土産に帰省しよう。
今ごろきっと、いちごが赤い実をたくさんつけているはずだ。

     

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