山岡歯科医院新聞です
歯周病はお口の中だけでなく、全身にも悪影響を及ぼすことが広く知られています。近年の研究ではその影響が肝臓にも及ぶことが明らかとなり、お酒を飲まなくても肝炎になると注目されています。
肝炎というとお酒が原因と思われがちですが、近年はお酒を飲まない人でも肝臓に炎症を起こす「非アルコール性脂肪肝炎(NASH)」が問題になっています。最新の研究でNASHの患者さんは健康な方と比べて、歯周病の原因菌のひとつである「P.ジンジバリス菌」という菌が、お口の中に約5倍も多いことがわかりました。さらに、NASHの患者さんに歯周病治療を行ったところ、肝臓の状態が大きく改善されたという報告もあります。
歯周病菌が血管から体内に入ると、私たちの体はそれを異物として認識し、炎症を起こして退治しようとします。このとき、放出される物質が脂肪の溜まった肝臓に到達すると、それが新たな刺激となってNASHの症状が進行していくと考えられています。
歯周病は「歯みがきをすれば治る」と思われがちですが、これは大きな誤解です。まず、自己流で無理にブラッシングを行うと、弱った歯ぐきを傷つけ、かえって血管内に歯周病菌をばらまくことにもなりかねません。さらに、歯周病の治療には歯石を取る必要もあり、これはご自身で取ることができません。このように歯周病治療は歯科医院での適切な指導と治療が必要です。気になる方は、まず検査を受けてみましょう。